ギラヴァンツのフィロソフィーづくりは始まったばかり(ギラヴァンツvsモンテディオ山形)

2021年J2リーグ最終節、ギラヴァンツ北九州は奇跡を信じてアウェイ山形へ今シーズン最後の戦いに行きましたが、結果は1-5の惨敗。今シーズンのチームの不出来をまざまざと見せつけられました。

 

奇跡のJ2残留には大量得点で勝つしかないギラヴァンツは、かつてを思い出したかのような積極的なプレスにいきました。しかし、プレスにおいて最前線の狩土名選手と前川選手の息は合っていたとはいえませんでした。積極的にいく前川選手に対し、狩土名選手はワンテンポ遅いのか、わざとゆっくりとコースを切りに行っているのか。DAZNで見ている分にはわかりませんでしたが、二列目も積極的に行っていたところを見ると、狩土名選手が連動しきれていなかったのでは、と思います。前のほうで引っ掛けてショートカウンターに行きたかったのでしょうが、これでは難しい。

 

逆に、プレスを剥がされた時には一気にゴール前までこられてしまう。でもそれを恐れていたら、果敢なプレスをかけることはできません。結局、うまく相手をはめることができず、山形にボールを握られる展開となってしまいました。そこからはみるみるうちに失点を重ねてしまい、気が付けば5失点の惨敗です。さすがに選手達も立ち向かう気力が萎えてしまった。そう感じざるを得なかった。こうして奇跡の残留どころか、勝利を挙げられずにJ3降格となりました。

 

この試合もやはりスタメンは変えられてきましたね。結局今シーズンはスタメン固定できないまま。ギラヴァンツにとってはもちろん悪い意味で固定できませんでした。すなわち、どのメンバーの組み合わせがもっとも出力が大きいのかがわからないままで、連携を深めることもできなかった、ということだと思います。もちろん途中、チーム内でコロナ罹患者が出てしまったりもしたし、私などが知らないいろんなことがあったでしょう。しかし、一年間という時間は全チーム共通で与えられたのです。

 

昨年の主力のほとんどが抜け、もう一度ゼロからチーム作りをせざるを得なかった。そういう意味では確かに過去2年とは全く状況が違いましたね。選手が育ち活躍すると上位カテゴリーのチームに移籍してしまう。そういう悲哀を本当に感じさせられました。でもこれもわかっていたこと。これからもそういう環境の中で、チームが永続して強くなっていくためにどうしたらいいか、考え実践していかなければなりません。

 

その一つは「ギラヴァンツでずっとサッカーをやっていたい」と思わせられるかどうかだと思います。プロだからもちろん給料のことも考える。でも「このチームが好き」と思わせるものを作ることは必須だと思うのです。そこには「北九州という町でサッカーをしたい」というのも含まれると思います。サポーターが、市民が、北九州という町とギラヴァンツというチームを、両方を魅力的なものにしていかなくてはいけない。そのためのフィロソフィーづくりはまだ作り始めたばかりです。完成なんかしていないのです。

 

来年度契約更改しない選手のリリースが出始めました。これはこれで仕方ないことですが、「このチームでサッカーをし続けたい」という選手が欲しい。そして長く在籍し、活躍して、新たなフィロソフィーを体現する選手となってほしい。そういう選手が複数人いてほしい。心からそう思います。

 

最後に、今年4月で北九州市での単身赴任生活を終え横浜に戻り、以前に増してギラヴァンツ北九州に心惹かれ、喜び、心配し、落ち込む自分がいました。関東でのアウェイ戦をいくつか現地応援したに過ぎず、遠くでおらんでいるだけ、と思われてたかもしれないですね。そんな私でも、選手や北九州から応援するサポーターの力には全然なれなかったのが悔しいです。

 

それでも、私はまだ作り始めのフィロソフィーがどういう完成形になるのか、これからもギラヴァンツを応援し続け、見届けたい。2022年もよろしくお願いいたします。